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第10夜・前編コラボの鬼・男の娘ライバー

犬山たまきいぬやま・たまき

この夜のポイント

業界最多クラスのコラボ実績を持つ男の娘VTuber・犬山たまきさんをお迎えした第10夜・前編。のりおママの「VTuberって儲かるらしいよ」から始まったデビュー秘話、夢追翔さんへの敗北宣言から生まれた隙間産業のMC戦略まで——コラボの鬼が見てきた「消える人・残る人」の分かれ目を、本音で語り尽くす。

  • デビューは2018年9月22日。きっかけは、のりおママの「VTuberって儲かるらしいよ」と「お前ちょっと稼いでこいや」
  • 年収3000万でも、バブル世代の実母を東京で養い続けられるか不安——お金の話の底に覗く、強い家族愛
  • 鉄板を全部試して、コラボだけが「マジでほんのちょっとだけ」良かった。原体験は、のりおママのボイスドラマ企画
  • 「MCでは夢追翔くんに勝てない」。でも男性NGの現場に入れる男の娘なら——「MCポジション、空いてるじゃん」の隙間産業戦略
  • 「好感度が上がる方が怖い」からあえての通常営業。「僕は優秀」と宣言するのは、他の子を「たまき基準」で見させないため
  • ゲスト選びの基準は「性格」。テイカーは2年で消え、サービス精神の人が残る——好例は神楽めあ。結城さくなと10年仲がいいことが、もう答え
前編2026/7/1 25:08

業界を牽引!コラボの鬼が断言 "絶対に消えるVTuber"の特徴とは!?

閉店後の喫茶Laid-Backに気になるゲストをお呼びして、本音を聞いちゃう対談トーク。第十夜・前編のお客さまは、業界最多コラボの男の娘VTuber・犬山たまきさん。のりおママ発のデビュー秘話から、"絶対に消えるVTuber"の見極めまで。

「この業界性格悪いやつちゃんと消えてくのね」
「あなたが今後伸びた時に僕のアーカイブ絶対伸びるから今から言っとく」

コラボの鬼、ご来店

閉店後の喫茶Laid-Backに、第10夜のお客さまがご来店。前後編でゲストが入れ替わるスペシャルな夜——前編は、業界最多クラスのコラボ実績を誇る男の娘VTuber・犬山たまきさんをお迎えする。

れい

本日、閉店後トークに来てくださったのは——犬山たまきさんです!よろしくお願いしまーす!

たまき

どうも、犬山たまきです。よろしくお願いします、イエーイ!

れい

たまきさん、いらっしゃいませ。実は、お付き合い自体はめっちゃ長いですよね。

たまき

そうなんだよね。僕は「れいちゃん、初めましてだなー」って思ってたんだけど、れいちゃんに「あれ、お久しぶりですよね」と言われまして。

れい

思い出すところ、ありました?

たまき

いたなー、って(笑)。まあ、言われてみればね。僕もいろんな思い出がありますよ。

「お前ちょっと稼いでこいや」

たまき

VTuberさんってほら、生き様がみんなあるじゃないですか。魔界から来てる人もいれば、れいちゃんみたいに喫茶店の雇われマスターだったりとか。僕、めちゃくちゃそういうバックボーンが薄くて。だってもう「男の娘VTuber」ってだけだよ、僕。あとは、佃煮のりお先生の息子っていうぐらいしかない。

れい

佃煮のりお先生という漫画家さんで、いわゆるたまきさんの生みの親、ママ絵師さんでもあるわけですけれども。

たまき

だから「佃煮のりおの七光」というか、二世タレントというか。

れい

二世タレントだったのか、実は(笑)。それ以外に、司会とか名乗っているわけでもないんですよね。

たまき

そう。実は「VTuber業界で一番たくさんコラボしてる」とかはあるんだけど、名乗ってはなくて。

れい

デビューは2018年でしたっけ。何を思って男の娘VTuberとしてデビューしたのか、どういう像を目指していたのか、今思うと気になりますね。

たまき

2018年9月22日デビューです。最初はのりおママが「どうやらVTuberって儲かるらしいよ」みたいな情報を仕入れてきて、「お金、欲しいよね」って。で、僕に白羽の矢が立ち——「お前ちょっと稼いでこいや」と。

れい

息子に託したんだ(笑)。最初はそんなきな臭い登場だったんですね。でも、そこまで困っていたわけでもないですよね? のりお先生、有名ですし。

たまき

のりおママ、当時の年収はもう言っちゃってるんだけど、商業連載と同人誌の二本柱で稼いでいて、最大でも年収3000万ぐらいかな。ただ、のりおママは実家からお母さんを東京に呼び寄せて、ずっと養ってるんですよ。「3000万で、何十年も母親を養えるか」は結構不安だったみたいなんだよね。

たまき

しかも、その実母はバブル世代の人で。アッシーやメッシーがいた時代のモテる女だったから、「汚い家には住めない」みたいな人なのよ。

れい

今はもう聞かない言葉ですね(笑)。

たまき

そんな母親だから苦労はさせちゃいけない、「おい、たまき、稼いでこいよ」——というところで、僕に白羽の矢が立ったわけです。

れい

それを聞くと、急に印象が変わりますね。紐解いていくと、苦労話がいっぱい出てきそうな感じもありますけど。

たまき

家族愛は、強い方かもしれないね。

「マジでほんのちょっとだけ」の差

れい

今はもう「コラボの司会をすごく回す人」というイメージがついていると思うんですけど、デビューした時から、そういう像を自分で描いていましたか?

たまき

いろいろやってみたんだよ、デビュー初期って。今でこそ本当にコラボメインで、ソロ配信はほぼやらないんだけど。ゲーム実況をしてみたり、歌枠をやってみたり、雑談配信で視聴者と喋ってみたり——VTuberがやる鉄板のものは、とりあえず全部やってみたんだよね。

れい

大事ですよね。

たまき

どれが一番再生数が取れて、コメントが多くて、みんなが喜んでるかなを見たときに、コラボ配信がほんのちょっとだけ——マジでほんのちょっとだけ、数字が伸びてて。

れい

すっごい明確な差があったわけじゃないけど、「多分……」っていう気づきがあったんですね。

たまき

そう、本当にほんのちょっとだけ受けが良くて。「ちょっと増やしてみるか」でちょこちょこ増やしていったら、コラボすればするほど数字が伸びる状態になってきて。向いてたんだろうね。企画を立てたり、キャスティングしたりするのも、自分、好きなんだって。

れい

自分でやっていても、苦じゃない。

たまき

やってて思い出したのが——のりおママって中学生の時からインターネットをやってるんだけど、当時一番ハマってたのが、ボイスドラマの企画を立てて、オーディションで声優さんを集めて、絵師さんも集めて、ホームページを自分で作って、完成したボイスドラマを公開すること。これ、めっちゃハマってたんですよ。

れい

それ、多分法人がやることですよね(笑)。

たまき

あの当時のインターネットは、有志で集まって「無料でいいから、みんなで何か作ろう」っていう時代だったんだよね。人を集めて、物をひとつ作るのが好きだったなーということを思い出して。

れい

原体験、そこにあったんですね。今のコラボの司会の。

たまき

だってコラボをひとつ作るのって、画面の素材をクリエイターさんに作ってもらって、演者さんにも参加してもらって——これ、声優オーディションと全く一緒だよね。生放送をやってアーカイブが残るのも、ボイスドラマの公開と全く一緒じゃんっていう。

「MCポジション、空いてるじゃん」

れい

気づいたら今では、コラボの「企画屋さん」「司会屋さん」みたいなイメージもすっかりついていますよね。

たまき

MCってありがたいことに言われることが多いんだけど——MCも最初は、にじさんじの夢追翔くんが結構司会をやってて。彼、MCがめちゃくちゃ上手くて。最初に見たときに、上手すぎて「僕、勝てない」って思っちゃって、夢追くんに。

れい

確かに、司会のイメージがありますね。

たまき

ただ、夢追くんは男性ライバーさんで、僕は男の娘。女性タレントさんで「男性と絡むのはNG」というアイドル的な子も、もちろんいるじゃないですか。

れい

確かに。初期は、より多かったかもしれないですね。

たまき

そう、あの時代はより多かったのよ。夢追くんにはどうせMCは勝てない、それは分かってる。けれども、夢追くんが男性だから出演できないものに僕が出演すれば——「MCポジション、空いてるじゃん」っていう。

れい

なるほど……!

たまき

夢追くんには勝てないけど、あのポジションはやってみたい。「隙間産業、あるよね」というのが最初にあったかな。

れい

今でもリスペクトしているMCは、夢追翔さんだったりしますか?

たまき

そうだね。コラボもたくさんさせてもらってるけど、いまだに彼のMCは憧れだし、「勝てないな」って思うMCだね。僕より全然上手い。

れい

そういうお話を聞ける機会も、なかなかないので……。

たまき

だってコラボでMCしてる側って、逆に自分の話をする機会があんまりなくないですか、僕。あんまり自分の話をするのが得意ではなくて。僕って結構、思想が強いのと、言葉が強いから。

れい

それはエンタメとしてわざとやっているというより、もともとそういう傾向がある?

たまき

そう、もともと何かに怒ってるタイプで。自分の中の正義に反するやつとか、責任感がないやつが許せないんだよ。ソロで話させちゃうと、その感情が表に出ちゃって。

2018年ごろのVTuber界隈は「動くきららアニメ」のような優しい世界で、素のままでは受け入れられないと踏んでいたという。だからデビューから6〜7年はコラボのみで「おとなしく」——最近のソロ配信は、視聴者層が確立してからの、満を持しての解禁だ。

「好感度が上がる方が怖い」

れい

常々思っていたんですけど、たまきさんって「敵を作るかもしれない」という言動を、全然気にせずしてるんですよ、ある意味。そこ、怖くないんですか?

たまき

全然するよ。あのね、僕、好感度が上がる方が怖くて。好感度が上がったら、ちょっとしたことで炎上すんだよ。

れい

スマイルで売ってた芸能人が不倫したら「やっぱり……」ってなる、みたいなことと一緒ですよね。

たまき

そういうこと。僕がちょっと下ネタを言っただけでファンがガヤガヤする——清楚な子だったら、もちろんあると思うんですよ。ただ、僕が言っても通常営業すぎて「たまきだしね」みたいな。何か起こってちょっとボヤった時も「たまきだし」「やるだろ、あいつなら」って。

れい

そうなる人、いますよね。「あいつなら遅刻しても」みたいな。……なるほど、好感度調整の結果なんですね、ある意味。

たまき

「あいつにデリカシーなぞない」って言われたいというか。まあでも、真面目なところはもうバレてるから、真面目なところも出していこうかな。

れい

たまきさんって「あんまり努力している印象を感じさせない人」というイメージがあるんですよね。実際はすごく苦労したり、裏で調整したりしていると思うのは、配信の結果を見ると伝わってくるんですよ。でも、それを口にすることってあんまりないじゃないですか。

たまき

あのね、僕からすると、それが努力だって思ってないんだよ。優秀だからね、僕。

れい

また敵を作りそうな発言をして(笑)。

たまき

いや、ちゃんと言わないと。僕が「優秀だよ」と言うのがなぜかというと——「僕みたいにできなくていいんだよ」ということ。僕が通常ラインだと思われちゃったら、他の子たちが大変じゃん。「たまきぐらいできないの、なんで」って視聴者に言われたら、かわいそうじゃない?

れい

ちょっと皆さん、聞きました? この人、他の子を守るために自分を上げてるんですよ。

たまき

僕が叩かれるのはいいけど、他の子が叩かれるのはかわいそうじゃん。僕、1日16時間平気で働く人だからさ。それが苦じゃない人だから。でも16時間労働なんて人間技じゃないし、普通じゃない。「普通じゃないよ」と伝えていかないと。たまき基準で考えられたくないんだよね。

れい

その自覚があるのは、さすがですね。

たまき

これ、最初は自覚がなかったんだよ。デビューして3、4年でやっと気づいて。当時のマネージャーに「あなたは特別できる人なので、周りの人が同じくらいできると思って要求するのをやめてください」と言われて——「そうだったんだ、僕って優秀だったんだ」と。周りの人はみんな、16時間働けないんだって。あのマネージャーが言ってくれたのは、すごく大きな財産だったよね。「僕は人間じゃなかったんだ」と自覚できたから。

ちなみに体はめっぽう丈夫で、活動に響く大きなお休みもなし。唯一の弱点だという「喉」の話では、扁桃腺の手術を乗り越えたれいと、束の間の共感タイムも挟まった。

「1時間でわかる◯◯さん」

れい

たまきさんに、もうひとつ聞きたいことがありまして。初めましての対談も、いつメンっぽい方々とのコラボもあると思うんですけど、どういう風にゲスト選びをしているのか。私もこうしてゲストをお呼びする側なので、気になっていました。

たまき

「1時間でわかる◯◯さん」を作ろう、というコンセプトで作ってて。

れい

いいですね、やっぱりコンセプトがある。

たまき

昔さ、「10分でわかる◯◯」っていう切り抜き動画が流行ったじゃないですか。今は生放送だから、「1時間でわかる誰々さん」を僕のチャンネルにストックしておく。「この人、ゲーム配信はめっちゃしてるけど、パーソナルな部分が聞きたい。でもゲーム配信でパーソナルな話はあんまりしない」っていう時に。

れい

散らばってますよね。断片的には喋ってるけど。

たまき

そうなのよ。「たまきさんと対談してるから、これ一本見とけば、この人のパーソナルな話が全部聞けるな」という風に使ってほしくて。だから僕の対談のいいところは、その子が当時バズってなかったとしても、いずれバズった時に、僕のアーカイブが一緒に伸びるんだよ。

れい

確かに……。戦略的な、ビジネス的な側面もあるんですね。

たまき

それこそ、出演してくれた方が「今回、数字が取れなくてごめんなさい」って言ってくることがあるんだけど——「全然良くて。てか、あなたがこれから伸びるって僕は思ってるから。あなたが今後伸びた時に僕のアーカイブ絶対伸びるから、今から言っとく。ありがとね」って言ってて。

れい

ツバつけてるー! 青田買いしそう!

たまき

めっちゃするね! 「この子は多分息が長いし、この後この業界に愛されて伸びるな」という人に先にツバをつけておいて、後から「あの時ピックアップしてもらって、ありがとうございました。いつでも呼んでください!」みたいになったらいいな、とは思ってて。

2年で消える人、10年続く仲

れい

ちなみに「この方は伸びるだろうな」って、何で感じます? たまきさんなりの視点、多分VTuberの方にも役立つ情報かなと思うんですが。

たまき

えっとね、僕、結構「性格」で見てる。あのね、この業界、性格悪いやつはちゃんと消えてくのね。

れい

それ、前に放送でも喋ってましたね。

たまき

生放送してる人って、性格をごまかせなくて。「この子、真面目だな」「単純にいい子だな」「ちょっと引っ込み思案なんだろうな」って、全部わかっちゃうのが生放送で。

れい

言葉選びのひとつひとつに、出るんですよね。

たまき

それを見て「この子、いい子だな」と思ったら結構声をかけるかな。逆に「いい子じゃないな」って思ったやつは、何年かで消えるのよ、絶対に。

れい

「いい子じゃない」というのは、何に近いですか?

たまき

「自分が良ければいいんだろうな、こいつ」というのが透けてる。すごいテイカーで、「誰かを踏みつけてもいいや」「利用できるものは利用すればいいや」という態度が透けてると、「こいつ、2年で消えるな」って思っちゃって。2年で消えるやつを、僕は支援する気にならないから。

れい

VTuberってそもそも「応援される人」じゃないですか。応援できない人は伸びないし、消えていく。……コラボって性格が出ますよね。誰かの発言に突っ込んであげるのって、めっちゃ優しさじゃないですか。ちゃんと反応してあげる人と、自分の番を待つだけの人とでは、どうしても差が出る。

たまき

それを僕は「サービス精神」って呼んでるんだけど。すっごい分かりやすいのが神楽めあで。あんな化け物中の化け物ではあるものの、性格がとにかく良くて、サービス精神旺盛なのよ。あんな化け物なのに、いろんな人が遊んでくれるのは、本当にその2つしかなくて。

れい

長いお付き合いのたまきさんも、やっぱりそう思うんですね。

たまき

だってさ、あんなに人と仲良くするのが苦手な結城さくなが、めあと10年仲がいいんだよ。「さくなが愛した女」——もうこれが答えなのよ。いいやつに決まってんじゃん、神楽めあ。

れい

さくなさんの中の「これは無理」という項目は人より多いイメージがあるので、そのチェックをくぐり抜けている時点で、もう答えなんでしょうね。

たまき

だから、神楽めあみたいなタイプは業界で長く生き残るって、僕は思ってますね。

「じゃあ皆さんも、神楽めあさんみたいな良い人に……」とまとめかけたれいに、「化け物部分はいいからね」とたまきさん。そこへ、次のお客さま到着の知らせが——入れ替わりでご来店するのは、たまきさんの生みの親、漫画家でのりプロ社長の佃煮のりおさん。本音の夜の続きは、第10夜・後編で。

チャプター
今夜のお客さま
犬山たまき
いぬやま・たまき
コラボの鬼・男の娘ライバー

佃煮のりお生みの男の娘VTuber。

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